【作品イントロダクション】
歴史はくりかえす。
物語はよみがえる。
「破壊された女」再演に続く、お布団のもう一つのマスターピース。古代ギリシアでソポクレスが書いたアンティゴネと、それを改作したブレヒトのアンティゴネ。ふたつを元に想像された、新たな物語。向こう側(フィクション)の戦争が、わたしたちの今を照らし出す。
※
3000年先の未来。争いあう二つの国、仮にテーバイとアルゴスがある。
テーバイは死体をゾンビ兵士として再利用する技術を開発し、それを利用して、隣国アルゴスを侵略。アルゴスもその技術を手に入れたことで、戦争は生者と死者が混ざり合う、かつてない混沌と化した。そこでは死者はマイナスではなく、また別の戦闘能力に変換できる、リソースに過ぎなくなった。
国境付近。
戦火の街で隠れて生きる二人の姉妹は、シェルターから出てくる。
壊れかけた家に戻った二人は、徴兵されたはずの兄が戦場から脱走したことを知る。
つかの間の喜びと動揺。
しかし、軍の懲罰部隊の将校が脱走兵を捕らえるために、姉妹の家を訪れる。
詰問される二人。
脱走は重罪であり、その家族も刑罰を逃れられない。
おそらく、二人は捕まり、殺されてしまうだろう。さて。